毎週月曜日更新! 死体で遊ぶなゲーマーたち

洋ゲー冒険家のマスク・ド・UHが、素晴らしきゾンビ映画とゲームの関係についてご案内!
そもそもゾンビとは何なのか?
ゾンビには種類があるのか?
ゾンビと呼べる範疇はどこまでか?
アタマを撃たないと死なないのは何故?
足が遅いゾンビと早いゾンビの違いとは?
その生態の解明から対処法までを古今東西で作られたゾンビ映画を元に徹底研究。
時にはゲストをお招きしてのゾンビ放談もありのB級カルト系バラエティWEBコラムです。

豪華ゲストを招いてのデッドライジング2対談企画も予定されています!

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第2回

| 2010年08月09日更新

ゾンビ映画史で知る生ける屍の変遷(PART2)~進化を続けるゾンビたち

 前回は、ゾンビの原点を探りつつ現在のゾンビ像......いわゆる"モダンゾンビ"と呼ばれるステレオタイプのイメージに辿り着くまでの流れについて執筆させていただいた。ブードゥー教の魔術から出発した生ける屍の存在は、時代の変化と共に凶暴性を増し、噛まれると伝染するという吸血鬼伝説の恐怖、未知の伝染病に対する怖れや不安を盛り込むことで、一気に新世代のホラー映画における主役級のポジションを勝ち取ることになる。その進化を革命的に表現した最大の作品は、百人に聞けば百人がそう答えるのは間違いないと断言できるマスター・ピース、ジョージ・A・ロメロ監督作品『ゾンビ DAWN OF THE DEAD』(以下『ゾンビ』)である。


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 あまりにも多くが語り尽くされた感のある『ゾンビ』について、いまさら筆者が何か書くことがあるのかといえば、大して思い当たらない。1つだけ断言できるのは、今から観るなら絶対にブルーレイ版がオススメだということ。まるで昨日撮ってきたかのような鮮明な画像と、その画面の端々に映り込むメッセージなどは、ビデオやDVD時代には特に注目もしていなかった箇所だけに、それに気づいた時の衝撃は大きい。散々観た映画にも、これだけ新たな発見があるとは想像だにしなかったのだ。例えば最も有名なシークエンスであるショッピングモールでの籠城シーンでは、多くの店がウインターセールの真っ最中だったことが看板やポスターで判明。乱入する暴走族たちの細かいファッションや、ゾンビたちの服装のディテールまでクッキリと見えるので、是非とも一度BD版の鑑賞をレコメンドしておきたい。


 ロメロの『ゾンビ』以降、群れをなして人肉を喰らい、生きている人間も噛み付かれればゾンビ化するというモダン・ゾンビの基本設定が定着し、その設定をソックリ頂いた映画が大量生産される時代に突入する。このムーブメントは、ちょうど1980年代に世界を席巻したホラー映画ブームと重なりあう。かつてのモンスター四天王と呼ばれたドラキュラ、狼男、フランケン、ミイラ男から、時代はジェイソン、フレディ、レザーフェイス、そしてゾンビという新・四天王へとシフトしたのである。


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 ホラー映画界新四天王の共通点は、犠牲者となる人間に対し、最初から殺意剥き出しで直接的に攻撃してくるところ。言い換えれば血なまぐさい行為を目的とした血に飢えた殺人鬼でありながら、同じ人間でもあること。特にゾンビは異色の存在で、他3名と違って単体で強いわけではなく、集団で襲いかかるところに強さがあり、死人なので説得も会話も何も通じないところに恐怖があり、かつて自分の家族や恋人だったのにゾンビ化した点に哀愁がある。ゾンビになる原因とかは、実はもうどうでもよくなっており、そこの基本ソースを曖昧にしておくことで、クリエイター側はゾンビに対して如何様な設定を加えても問題ないという、いうなればフリープログロムのような存在であることが、数多くのゾンビ映画が産まれる原因だと筆者は推察しているのだが、どうか?


 モダン・ゾンビ映画の中では、確かに『ゾンビ』は超一級品であるが、それ以降に作られた映画も、なかなか傑作揃いである。同じゾンビでも古典的な悪霊で、舞台も 閉鎖空間の山小屋という設定にゾンビの恐怖と笑っちゃうぐらいのゴア描写を足したことで一躍有名になり、日本にホラー/スプラッター映画ブームを巻き起こすキッカケとなったサム・ライミ監督の『死霊のはらわた EVIL DEAD』('82年)も忘れてはならないし、その勢いで上陸を果たしたH・P・ラヴクラフト原作小説のグチャグチャな映画化作品『ゾンバイオ 死霊のしたたり RE-ANIMATER』('85年/監督ブライアン・ユズナ)も、賛否は分かれるが個人的には非常に良い映画だった。『ナイト・オブ・ザ・リビングデッド』の正統続編『バタリアン RETURN OF THE LIVING DEAD』('85年/監督ダン・オバノン)も、日本独自の宣伝スタイルも含めて評価しているし、ピーター・ジャクソン監督の出世作『ブレインデッド』に至っては、そのあんまりなグチャドロ路線に狂喜したものである。


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 もちろんロメロによる『ゾンビ』サーガ第三部『死霊のえじき DAY OF THE DEAD』も重要だ。残虐度はロメロ作品の中でも群を抜いている出来映えだが、過激一辺倒のスプラッター映画全盛期に社会/文明批判を全面に押し出して練り込んだ人間ドラマを中心に捉えた内容は、正直当時はあまり面白いと感じなかったのも事実。いまになって観直すと理解できる部分も多いけど、興行的にも成功とは言い難い結果に終わり、ロメロはしばらくゾンビ映画から遠ざかってしまう。  その間に筆者は更に多くのゾンビ映画を観る。もちろんロメロ映画の幻影を求めての行為だが、まぁそうそう当たりなんてあるハズもなく、イタリアの大御所ルチオ・フルチのゴアゴア系ゾンビ映画(『サンゲリア』、『ビヨンド』、『地獄の門』あたりが定番だが、筆者が一番好きなのは『墓地裏の家』と、ヒロイックファンタジーに挑戦した『SFコンクエスト』ですね)の他に魂を焦がしてくれるゾンビ映画に出会うことなど無かった。
 いや、1本だけあったかな。ゾンビ化した刑事と生身の刑事のコンビが活躍するホラーアクション『ゾンビコップ』('87年)だ。主役のゴリラっぽいルックスの刑事役の俳優ジョー・ピスポコが、なぜか当時の東京国際ファンタスティック映画祭に来日しており、筆者はその俳優の変な名前を強烈に覚えていたので、会場で思わず握手を求めた記憶がある。映画の内容は特に覚えていないが、死体ならば何でも甦る化学薬品の影響とかで、中華街のレストランに吊るされていた調理中のチャーシュー肉に襲われるシーンには大爆笑させてもらった。そして、ゾンビの存在定義における拡大解釈が、1つのピークを迎えた瞬間とも認識している。  ちなみに、ゾンビ映画史の変遷に関する詳細は、伊藤美和氏の著作『ゾンビ映画大事典』(洋泉社)が最強の教科書であり、筆者も隅から隅まで読んで色々勉強させてもらっている。ゾンビ映画に興味がある方や、『DEAD RISING 2』の世界観をより深く知りたい人なら迷わず読むべき1冊と強くオススメしておきたい。


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 90年代に突入し、冷戦の終結や世界不況の時代に突入すると、ゾンビはまた大きな進化を遂げることになるのだが、それはまた別のお話。次回更新では、いよいよゲストを招聘してのスペシャル対談シリーズをお届けするので、刮目して待っていてほしい。テーマは<ZOMBIE VS. ROCK'N'ROLL>だ!
 第1弾のゲストは男の燃え上がるソウルを歌い上げるロックンロールバンド<怒髪天>のヴォーカリストであり、重度のゲーマーとしても知られる増子直純 兄貴と、日本を代表する爆音バンド<ギターウルフ>のドラマー、トオル兄貴がゲスト! 実は 超が付くゲーム好きのトオル兄貴と増子兄貴は、初めて触れる『DEAD RISING 2』の世界に何を思うのか? 前代未聞のゲーム対談の掲載は8月16日を予定! 他では絶対に読めませんから!

【マスク・ド・UH】

洋ゲー冒険家。
某海外デベロッパーの元社員にして、現在はフリーライターとなり各方面に洋ゲーに秘められた真の魅力を伝える日々を送る。
今回は素晴らしきゾンビゲームの金字塔『DEAD RISING 2』の世界を補完すべく、ゾンビ映画、ゲーム、そして周辺文化を考察するために墓場から甦った厄介者として参上した次第。

スローガンは"ZOMBIE OR DIE"だ!……どっちにしろ死んでるけどな!

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